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【事例紹介】雨の日こそ、おトクにおでかけ “鉄道会社が仕掛けた梅雨限定デジタルスタンプラリー”

  • weathermarketing
  • Jul 7
  • 3 min read

Updated: Oct 2


背景:梅雨の“外出しにくい”心理を逆手に取る

梅雨シーズン、外出を控えがちな状況と家で過ごす時間の増加が見込まれる中で、JR西日本は、駅ナカ商業施設「エキマルシェ大阪」の集客強化と地域回遊促進を狙い、雨の日を“隠れたチャンス”と捉えました。天気予報とポイントサービスを活用した“雨トリガー型”キャンペーンを構築。当時としては日本初となる「天気×MaaS×デジタルスタンプラリー」施策が始動しました。


雨の日の電車

仕掛け:アプリ内で“雨の日だけ参加できる”スタンプ集め

2022年6月10日から7月10日の期間、JR西日本のMaaSアプリ「WESTER」にて以下の手順で展開しました。


  1. 利用者は「おトクにGO!」メニューからエントリーし、ICOCAを登録。

  2. 当日の天気予報(曇り時々雨など)で「雨予報確認」。雨が予報されていれば1つ目のスタンプを獲得。

  3. 同日、エキマルシェ大阪でICOCAを使って買い物すると2つ目のスタンプを獲得。

  4. 加えて、JR大阪駅出場で3つ目のスタンプを獲得。


これを組み合わせた複数スタンプ達成で、最大20%分のICOCAポイントが付与される仕組みです。参加は梅雨期の雨の日に限定されるため、ユーザーの行動が自然に誘導されました。


狙い:雨でも“駅ナカで過ごす理由”を創出

この施策の核となるのは、「雨=外出控え」が逆転して「雨+おトク=駅ナカに行く動機」に転じる点にあります。より詳しく言えば、


  • 生活者の心理に寄り添う設計  

    雨で億劫な気分を、特典につながる“楽しみ”へ変換。

  • MaaSアプリ×天気APIの連携  

    リアルタイムな天気予報を基準に、スタンプ参加機能を発動。

  • ポイント還元による用途喚起

    駅ナカでの買い物やJR利用といった行動への誘導が設計されています。

スタンプラリ

成果:雨の日に“行く価値”を提供

公式リリースでは具体的な数値は公表されていませんが、複数企業が連携し天気連動で参加資格が絞られた仕組みは、参加率・滞在時間・購入額のいずれにおいても通常施策を上回る成果が期待される構成となっています。天気依存型広告の専門領域である日本気象協会は、消費行動の誘導につながる“行動変容型マーケティング”として位置付けています。



生活環境に連動するプロモーションの進化型

この取り組みから得られる主な示唆として、以下の3つが挙げられます。


  1. 天気=行動要因 

    雨という日常に根ざした条件が、反応誘導に有効な切り口になり得る。

  2. サービス連携と即時性 

    MaaS × ポイント × 天気APIによって、行動と報酬が即座につながる体験を設計。

  3. 顧客体験とデータ収集の融合

    参加者の行動ログは、今後の利用促進・店舗設計・マーケティング戦略に活用可能です。

雨でも楽しそうな人

今後の展望として:他業種への応用

梅雨期の雨要因による駅ナカ回遊促進は、他業種・地域でも応用可能なモデルであり、次のような展開が期待されます。


  • 観光地や商業施設での“雨の日特典”企画

  • 自治体と連携した雨天イベント/防災訴求

  • 季節指数(暑さ・花粉・紫外線)によるスタンプラリー展開


いずれも天気というリアル・ライフインジケーターを起点とすることで、“行動の誘導力”が高まる設計です。



まとめ:天気×MaaS×ポイントの三位一体が描く“行動誘導型プロモーション”

この取り組みは、梅雨期において、天気を軸に行動を促す新たな広告・プロモーションのフォーマットを示しました。


特に、

  • 雨という自発的な行動抑制要因を消費行動に好転させる発想の転換

  • アプリ・ポイント・天気APIを結合した仕組み作り

  • 結果的に行動ログを取得できる“体験のデータ化”


という点は、現代マーケティングにおいて重要な知見を提供します。

こうした「気象データに連動した行動変容設計」は、今後さまざまな業界・シーンで採用されるべきプロモーション手法と言えるでしょう。




※本記事は、以下の事例を参照・要約した内容で構成されています。



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