【事例紹介】梅雨も怖くない！「天気＋クーポン」で“バッドヘアデー”を撃退したワザ

背景：新製品なしで迫られた逆転劇

2013年、Pantene（パンテーン）は新製品の投入がない中、300以上の新製品が市場に殺到する中で苦境に立たされていました。特にドラッグストアの大手Walgreensでの売上は前年比で7％減少。このままでは製品棚から忘れられてしまう危機感がありました。

課題：「雨・湿度」に左右される“バッドヘアデー”問題 

湿度の急激な変化は、髪の広がりやまとまりに大きく影響します。Panteneはこの「悪い髪の日＝湿度」の因果関係を逆手に取り、消費者が「今まさに必要」と感じるタイミングでアプローチしたいと考えました。天気予報へのアクセスという日常行動が絶好の接点となったのです。

施策：「Haircast」で天気＋製品＋クーポンをセット提供

PanteneはThe Weather Channelと協業し、スマホで天気予報を見るユーザーに対して、地域天気に応じたヘアケア情報をリアルタイムで表示。たとえば高湿度の場合は「フリーズ対策」、乾燥日は「保湿ケア」を提案し、さらにWalgreens（大手ドラッグストアチェーン）で使える$2クーポンをセット。この仕組みを「Haircast」と名付け、ユーザーに即効性と実用性を訴えました。

メディアミックス＆SNS戦略

• モバイル広告：The Weather Channelアプリ内で地域特化バナー配信

• ランディングページ：Walgreensブランドを前面に出したモバイル最適化型で、クーポン取得と即購入導線を設計

• SNS拡散：女性気象予報士へのPRキット提供とTwitterでのハッシュタグ「#haircast」による会話促進を図りました。

成果：数値で見る大成功の理由

• Walgreens売上：7～8月の売上が前年比＋24%に急増（目標の＋10%超過）

• 参加ストア数：5,500店舗（目標4,000に対し＋37.5%達成）

• カテゴリー売上：ヘアケア全体で＋4%のカテリフトを達成

• SNSインプレッション：Twitterで月平均37万超のオーガニックインプレッション

デジタル＋リアル店舗を一体化した施策が、小さなコンバージョンを大きな売上に繋げる典型例となりました。

ポイント：なぜ「天気×クーポン」は強かったのか

ポイント	内容
リアルタイム性	天気予報を見る“今”のタイミングに広告接触し、行動起点を作った
文脈理解	湿度が髪に影響する「バッドヘアデー」をブランドが理解し、解決策を提供
購買動線のスピード設計	クーポン＋最寄り店舗への導線で、気づきから購入までの時間を最短に
口コミ＋実売	SNSで話題化しつつ、リアル購入に繋がる仕掛けが両立された

天気が導く“コンテクスチュアルマーケティング” 

PanteneのHaircastは、天気を“状況理解”の軸に据え、消費者の「タイミング」と「ニーズ」に寄り添っています。気象というリアルなトリガーをマーケティングに応用したこの手法は、コスメ・ヘルスケア・食品・家電など、日常生活に密着する領域でも広く応用可能です。

天気データ活用の成功の鍵

この事例が示したのは以下の3点です。

1. 日常行動（天気チェック）にヒットするメディア戦略

2. 問題の理解×即効性あるオファー設計

3. SNSとの連動で、話題化と売上ドライブを両立

単なる広告枠ではなく、消費者の“今”を捉えるマーケティングが、ブランドを“買われる存在”に変える――Panteneの成功は、まさに環境データを起点とした文脈マーケの極致と言えます。

※本記事は、以下の事例を参照・要約した内容で構成されています。

参照元：https://www.mmaglobal.com/case-study-hub/upload/pdfs/mma-2014-927.pdf