【事例紹介】天気連動型広告を活かし、気候変動対策への意識を高める
- weathermarketing
- Sep 1
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Updated: Sep 25
はじめに
非営利組織「Science Moms」は、気象学者であり母親でもある11人の女性たちが中心となり、日常の“天気”と気候変動を結びつけ、子ども世代の未来を守るための行動を働きかけています。2024年夏から秋にかけて米国6州を対象に展開された今回のキャンペーンでは、The Weather Channelアプリ広告を通じ、「異常気象は気候変動の一端である」ことを訴求しました。

課題設定
多くの母親が子どもたちを取り巻く地球環境の将来に強い不安を抱く一方で、科学的な知識は乏しく、「何をすべきか」はよくわからないというジレンマを抱えていました。調査では、現在の気候を「より激しく、不安定に感じる」とする人が63%、また85%以上が気候変動への懸念を抱いているにも関わらず、それを変えるための行動にまでつながっていない実態が浮き彫りとなりました。
戦略と仕掛け
キャンペーンは2024年7月15日から9月29日まで、ペンシルバニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、アリゾナ州、ジョージア州、ノースカロライナ州の6州にて実施されました。異常気象(豪雨、熱波、洪水、山火事など)が発生したタイミングで、当該ZIPコードの母親をターゲットに広告を配信。

成果
1,300,000人以上のユニークユーザー(母親層)にリーチ
女性35〜44歳層において、気候変動への行動意志は6.3ポイント向上
同層のブランド認知:6.7%上昇、広告想起:3.6%上昇、推奨意向:3.3%上昇
郊外の女性では、21%以上の気候行動支持率向上(ランダム化比較試験による)

メッセージ設計
広告メッセージは、一貫して「子どもへの思い」を軸に構成。たとえば「異常気象は気候変動のサイン」であることを「科学者でもある母親」の立場から語り、気候リスクを他人事ではなく“自分ごと”と感じさせます。また「Unnatural Disasters(不自然な災害)」などのフレーズが、異常気象と気候変動の結びつきを強く印象づけました。
波及する効果
Science Momsはその後も影響力を拡大。2025年スーパーボウルのアナハイム(ロサンゼルス)地域向けの広告枠に、非営利グループとして初の天気連動型広告を出稿。30秒の広告「By the Time」は『NYタイムズ』などにより“最高の広告10本”に選ばれました。また、同広告ではロサンゼルスの山火事被害支援基金への寄付呼びかけも行われました。
まとめと展望
Science Momsは、気象データと“母親の愛”を核に据えたメッセージを掛け合わせ、気候変動をより身近なテーマへと昇華させました。異常気象の発生をトリガーとしながら、その背後にある“長期的な気候変動”の理解へとつなげる手法は、広告の可能性を広げる成功例と言えます。
今後は、災害時に即応する「リアルタイム気候コミュニケーション」の体制を強化し、政策決定プロセスへの反映やコミュニティでの実行を促すフェーズへと移行中です。この取り組みは、気候に連動したコミュニケーションの新たな指標となり、世界中の「母親+科学者」たちの輪を広げる原動力として注目されています。
※本記事は、以下の事例を参照・要約した内容で構成されています。







